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平成28年度税制改正大綱のポイント


昨年201512月、平成28年度税制改正大綱が発表されました。

老婆心ながら「税制大綱って何?」からお話ししますと、”税制改正大綱”は、「次の年度に税金の仕組みをどのように変えるか」を与党(現在は自民党と公明党ですね)が話し合ってまとめたものです。

実際には、各省庁から寄せられた要望(「新しくこんな制度を作って欲しい」「この税金の税率を上げて欲しい」など)をたたき台にして、与党が中身を審議して内容を決めていきます。

ここでまとめられた内容は”案”に過ぎないので、情勢の変化等によって、実現しなかったり、形を変えたりすることもありますが、概ねこの内容通りに次の年度の税金の仕組みは変わっていくので、多くの人が注目しています。

今回は、法人実効税率20%台への引き下げと平成294月からの消費税10%への引き上げに伴う軽減税率導入が大きな話題となりました。

アパート経営に関する改正としては、建物附属設備の減価償却方法が定額法に一本化されることや、期限切れとなる特別措置の延長などがあります。アパート経営や相続など、土地オーナーが注目すべき税制改正のポイントを整理します。

 

1.法人税率引き下げによるアパート経営への影響

今回の税制改正の焦点の一つは「法人実効税率」の引き下げです。法人実効税率とは、主に法人税、法人住民税、法人事業税からなる実質的な所得税負担率のことです。現在の32.11%から、平成28年度に29.97%、30年度に29.74%に引き下げられます。企業の負担を軽くして設備投資や賃上げを促し、成長戦略に弾みを付けるのが狙いのようです。

ただし、日本経済の課題は、成長戦略と財政再建を両立させることです。減税した分の財源をどこかで相殺する必要もあります。法人税に限っていうと、会社の規模などに応じて納める「外形標準課税」を拡大することになり、赤字企業でも課税されます。

これら法人実効税率に関する一連の税制改正は、特に資本金1億円を超える大企業に関係するものです。賃貸オーナーの中には経営を法人化している方もいると思いますが、ほとんどは中小企業の範囲だと思います。

中小企業の法人実効税率はもともと優遇されており、大企業より抑えられていました。課税所得が400万円までは21.4%、400万円超?800万円まで23.2%、そして800万円を超えると34.33%です。

このうち今回の税制改正で、800万円を超える34.33%が平成28年度から33.80%、30年度から33.59%に引き下げられます。大企業より税率が高いのは、外形標準課税がかからないことが理由です。課税所得800万円を超える、アパート経営法人のオーナーにとっては減税となります。

 

報道で取り上げられる法人実効税率の引き下げは、資本金1億円を超える大企業が対象。中小企業は、課税所得が400万円まで21.4%、400万円超?800万円まで23.2%、800万円を超えると平成28年度から33.80%、30年度から33.59%に引き下げられる。

軽減税率よりも消費税の引き上げ時期に注意。

 

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もう一つの大きな焦点が、消費税10%引き上げ時に導入する軽減税率でした。これについては、様々な議論があり、線引きがこれからのものもあります。家賃にはもともと消費税はかかりません。しかし、建物や設備には消費税がかかります。賃貸オーナーとして気をつけなければならないのは消費税10%の導入時期です。現在の予定では、平成2941日となっています。

新築する場合は、契約をその半年前までに結ぶなどのルールがあります。今後、新たな建て替えや設備投資を計画している場合は、そのタイミングに注意してください。
賃貸オーナーとしては、消費税10%の導入時期をしっかりチェックすること。新たな建築計画やメンテナンス計画は増税前に実施したほうが得策。

 

2.設備の減価償却方法が定額法に一本化

アパート経営に関する税制改正で、今回最も影響があると思われるのが減価償却制度の見直しです。今までは、建物附属の設備および構築物の減価償却方法が定率法と定額法の選択制でしたが、改正後は定額法のみとなります。構築物とは、アプローチや植栽などです。
定率法も定額法も最終的に償却できる総額は同じですが、定率法は初年度から数年は多額の減価償却費を必要経費として計上できるので、取得当初の節税メリットが高く、定率法を選ぶ人も多かったと思います。

建物が定率法から定額法に限定されたのは平成1041日以降です。これで、設備も含めて定額法に一本化されます。平成2841日以降に取得したものから適応になります。特に新築の場合は、採算シミュレーションが大きく変わってきます。今年の4月以降に新築計画があるオーナーで定率法を採用する予定だった場合は、採算シミュレーションの見直しが必要です。

また、大きな設備投資などを考えている場合で、定率法を選択したい場合は今年の331日までが期限となります。

平成2841日以降に取得したものから、建物附属設備・構築物の減価償却方法が、定額法のみに一本化される。4月以降の新築計画や大きな設備投資計画がある場合は注意が必要。

 

3.30万円未満の少額減価償却資産の損金算入の特例は延長

設備の減価償却方法が定額法に限定されましたが、30万円未満の設備投資(減価償却資産)であれば、一括して必要経費にできる特例は2年間延長され、平成30331日までになりました。青色申告をしていることが要件になります。
ただし、取得した減価償却資産の合計が300万円までとなっています。つまり、一個29万円であれば、10個が限度です。

 

その他土地住宅税制

 

5.空き家の譲渡所得について3,000万円を控除する措置の設置

 近年、空き家が放置され、周辺環境根の悪影響を未然に防ぐ観点から、空き家の最大要因である『相続』に起因する空き家の有効活用を促進するため、空き家の売却について、以下の特別措置が創設されます。

 

『相続から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該家屋又は取り壊し後の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除する制度』 

本措置のポイントをまとめると、

 

 ポイント@

《相続発生日を起算点とした適用期間の要件》 

相続から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ特例の適用期間である平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡することが必要です。

 

ポイントA

《相続した家屋の要件》

特例の対象となる家屋は、次の要件を満たすことが必要です。 

・相続の開始直前において被相続人の居住の用に供されていたものであること。

・相続の開始直前において当該被相続人以外に居住者がいなかったものであること。

・昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。

・相続時から譲渡までの間に、事業、貸付、居住の用に供されていたことがないこと。

 

 ポイントB

《譲渡する際の要件》

特例の対象となる譲渡は、次の要件を満たすことが必要です。

譲渡価格が1億円以下。

・家屋を譲渡する場合、当該譲渡時において、当該家屋が現行の耐震基準に適合するものであること。

 

6.新築住宅に係る固定資産税の軽減措置の延長

新築住宅に係る固定資産税を3年間(マンションについては5年間)2分の1に減額する特別措置の適用期限が2年間延長されます。 

 

・戸建新築住宅は平成30年3月31日まで2分の1に減額OK

・新築マンションは平成33年3月31日まで2分の1に減額OK

 

7.不動産取得税に係る各種特例措置の延長

 不動産取得税に係る以下の特例措置の適用期間が2年間延長されます。 

 

・新築住宅を宅建業者が取得したものとみなす日を住宅新築の日から1年(本則6か月)を経過した日とする不動産取得税の特例措置 

⇒適用期限を平成30年3月31日まで延長

 

 ・新築住宅用土地に係る不動産取得税の減額措置について、土地取得後住宅新築までの経過年数を3年(本則2年)とする特例措置

 ⇒適用期限を平成30年3月31日まで延長

 

8.居住用財産の買換え等に係る特例措置の延長

 居住用財産の譲渡に当たり、譲渡損または、譲渡益が生じた場合に応じて、以下の税制上の特例措置の適用期限が2年間(平成29年12月31日まで)延長されます。

 

【譲渡損が生じた場合】

・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

 ⇒住宅の住替えで譲渡損失が生じた場合であっても、買換資産に係る住宅ローン残高がある場合は、譲渡損失額を所得金額の計算上控除(以降3年間繰越控除)できる制度

 

・居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

 ⇒住宅を譲渡した際に譲渡損失が生じた場合であっても、譲渡資産に係る住宅ローン残高が残る場合は、住宅ローン残高から譲渡額を控除した額を限度に、所得金額の計算上控除

 

(以降3年間繰越控除)できる制度

 

【譲渡益が生じた場合】

・居住用財産の買換え等の場合の長期譲渡所得の課税の特例

 ⇒住宅の住替えで、譲渡による収入金額が買換資産の取得額以下の場合は、譲渡がなかったものとして、譲渡による収入金額が買換資産の取得額以上の場合は、その差額分について、譲渡があったものとして課税する制度

 

9.三代同居改修工事等に係る住宅ローン控除

平成2841日から平成31630日までの間に、借入金を利用して三世代同居に対応したリフォームに関して、所得税額の特別控除が創設されます。特別控除額は下記の合計額で、控除対象期間は居住の用に供した年から5です。

 

@一定の三世代同居改修工事に係る工事費用(250万円限度)に相当する住宅借入金等の年末残高×2

A@以外の住宅借入金等の年末残高×1

一定の三世代同居改修工事とは、調理室・浴室・便所・玄関のいずれかを増設する工事で、かつ、工事費用の合計額が50万円を超えるものをいいます。なお、上記の特例は増改築等に係る住宅ローン控除と選択適用になります。

 

10.既存住宅に係る三世代同居改修工事をした場合の所得税額の特別控除

平成2841日から平成31630日までの間に、三世代同居改修工事等をして居住の用に供した場合、居住の用に供した年に一定の金額が所得税額から控除されます。特別控除額は、一定の三世代同居改修工事に係る標準的な工事費用相当額(250万円限度)×10%とされています。ただし、上記の住宅ローン控除との併用は不可です。

 

11.農地の固定資産税軽減措置の創設と耕作放棄地に係る固定資産税の特例廃止

市町村が定める農業振興地域にある農地で、すべての農地を農地バンクに賃貸して離農する場合、賃貸期間が10年以上で3年間、15年以上で5年間固定資産税が50%減額されます。また、農業振興地域のうち、農業委員会が農地バンクとの協議を勧告した農地は特例を受けられなくなり固定資産税が現行の1.8になります。

 

12.結婚・子育て一括贈与制度の使用対象を拡充

この制度は子や孫に、結婚・子育て資金を1,000万円(結婚資金は300万円)まで一括して贈与した場合に非課税となるものです。範囲の対象に、不妊治療のために薬局に支払う医薬品代も認められるようになります。

 

13.サービス付き高齢者向け賃貸住宅の割増償却制度1年間延長

サービス付き高齢者向け賃貸住宅については、5年間、建物の減価償却費に上乗せして割増償却することができます。耐用年数35年未満のものは14%から10%に、耐用年数35年以上のものは20%から14%に引き下げた上で1年間延長。平成29331日まで。

 

14.リフォーム(耐震・バリアフリー・省エネ)した場合の固定資産税の減額措置延長

耐震改修した場合、固定資産税が1年間2分の1になる特例措置が23カ月延長されます。平成30331日まで。
バリアフリー・省エネ改修した場合、固定資産税が1年間3分の1になる特例措置が2年延長されます。平成30331日まで。賃貸住宅は不可。

 

15.加算金制度、罰則強化

税制全般についてですが、所得税の隠蔽などで過少申告すると加算税が課せられます。その割合が10%上乗せされ、最大で50%になります。

 

まとめ

今回の税制改正は、全体的には減税と言われていますが、個人事業主にとっては減税の恩恵はほとんどありません。今後も、個人事業主や小規模事業者に関しては、増税となる可能性があるので、注意が必要です。

今回、先送りされたものに「配偶者控除」があります。いわゆる103万円の壁をなくし、女性が働きやすくするというものです。以前から廃止の声が出ていましたが、単純に廃止となるとこれまで38万円の配偶者控除を受けていた人にとっては増税です。代わりに夫婦控除のような形にするという案も出ています。

また、いよいよ消費税10%導入の時期が近づいてきました。軽減税率の内容に議論が集中していますが、それに合わせた消費税課税のあり方も見直しが検討されています。現在、課税売上が1,000万円以下の個人事業主や法人は、消費税の納税義務は免除されています。
これについては不公平感が指摘されていますので、何らかの改正があるかもしれません。賃貸経営は、もともと非課税業者ですので影響はありませんが、前述したように、建物設備には消費税はかかります。賃貸経営にとっても、間接的な影響はあると言わざるを得ません。

相続税に関しては、昨年増税されたばかりですが、贈与税については、今回も一部緩和措置がありました。贈与を促進することで、資産を次の世代に流通させる狙いがありますので、今後も緩和策等があるかもしれません。

いずれにせよ、個人事業主を含む小規模事業者への税制の見直しが検討されています。賃貸オーナーにとっては、その時々の税制をうまく活用することが、資産運用に欠かせません。今後も税制改正に注意が必要です。

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